すみれはそれぞれの種類ごとに、性質が微妙に異なります。多種類のすみれを上手に育てるには、置き場所や用土などの調整が容易な鉢植えでの栽培が基本です。合わない環境では、植えても根付きません。
スミレとその仲間
スミレは紫のすみれ色以外に様々な花色、八重咲や二色咲き、葉に特徴ある品種も知られています。いずれも丈夫で育てやすいので、ベランダ栽培の初心者に、とくにおすすめです。

Viola mandshurica var. triangularis
スミレの海岸性の変種、アツバスミレの白花品種。伊豆諸島の新島で見出されました。

Viola mandshurica
紅紫色花のスミレで、咲き始めがもっとも色鮮やかで、咲き進むとやや退色します。
無茎種の栽培品種
花の後に茎を伸ばさないものを無茎種と呼びます。株の寿命がやや短いものが多いので、タネで世代交代をするのが、上手に育てるポイントです。

Viola phalacrocarpa f. chionantha
アカネスミレの白花品種。高尾山に近い小仏峠で最初に見出されました。

Viola chaerophylloides
古くから知られる、葉が切れ込む栽培品種。鮮やかな花色と芳香で人気があります。
有茎種の栽培品種
タチツボスミレなど、花の後に茎を伸ばすものを有茎種と呼びます。無茎種に比べ人気は低いものの、株の寿命が長く、環境が合うと雑草化します。

Viola grypoceras var. hichitoana
タチツボスミレの海岸性の変種。葉は肉厚で光沢があり、やや大型になります。

Viola verecunda var. subaequiloba
二ョイスミレの小型変種で、花も葉も小さい。葉は三日月型で、茎は横に這います。
海外原産のすみれ
パンジーやビオラ以外にも、魅力的な海外のすみれはたくさん知られています。欧州原産のニオイスミレなど、多くが日本と同じ温帯原産です。

Viola diffusa ssp. tenuis
台湾~中国南部~インドネシア原産のツクシスミレの仲間。寒さにやや弱い性質があります。

Viola sororia ‘Red Giant’
日本各地で逸出する北米原産ビオラ・ソロリアの栽培品種。赤紫色の花を咲かせます。
育成された交配品種
自然のなかで稀に見出される交雑種を参考に育成され始めました。広く栽培される交配品種はいずれも丈夫で育てやすく、花がたくさん咲きます。

Viola mandshurica x V.chaerophylloides
濃紫色のスズキスミレの栽培中に現れた突然変異で、珍しい絞り咲きの栽培品種。

Viola mandshurica x V.lactiflora
スミレと中国~朝鮮半島原産のシロコスミレの交配品種。やや大型で、花がたくさん咲きます。