日本には55種類のすみれが見られます。珍しい種類を見つけることはうれしいことですが、身近で見られるすみれをていねいに観察することを、日本すみれ研究会ではすすめています。
スミレなどの人里のすみれ
日本のすみれの代表が、すみれ色の花を咲かせるスミレです。日向の道端など全国で見られます。人間の生活圏に見られるすみれの種類は多く、都市部でも探せばまだまだ見つかります。

Viola mandshurica
スミレは元々、山の草原などから人間の生活圏に進出したものです。山間部でも道端でよく見られます。

Viola japonica
人里に多い早咲きのすみれです。名前に反して、夏には葉がとても大きくなります。
エイザンスミレなどの山のすみれ
すみれが特に多くみられる環境が、春先は明るく、夏はややくらくなる、落葉樹林の下や、林縁部です。種類ごとに最適な生息条件に幅があり、微妙に混生、あるいは棲み分けています。

Viola eizanensis
やや湿り気のある林縁部に見られる葉が切れ込むすみれ。花色は白から紅紫まで幅があります。

Viola yezoensis
ヒカゲスミレの花時の葉がこげ茶色になるもの。花後に葉色はすぐ緑になり、区別は困難です。

Viola violacea
西日本に多く見られるすみれで、葉の表面は光沢があり、裏面が濃い紫色になるのが特徴です。

Viola phalacrocarpa
明るい林縁部などに見られるすみれで、やわらかな微毛が植物体全体に密生するのが特徴です。
タチツボスミレの仲間
薄紫色の花を群れ咲かせるタチツボスミレの仲間は、明るい場所からやや暗い場所まで、幅広い環境に見られるもう一つの日本のすみれの代表です。夏には茎を伸ばし、花時と異なる姿になります。

Viola grayi
おもに日本海側の砂浜周辺に見られます。現地では夏に暑さで葉が枯れ、秋に再び茂るそうです。

Viola grypoceras
このすみれには様々な花色、花型の変異が知られています。これは淡桃色で芯が濃い花です。
その他の仲間のすみれ
種類が多いスミレの仲間とタチツボスミレの仲間以外には、黄色い花のキスミレの仲間や、地下茎が太くなるスミレサイシンの仲間、小さな花のニョイスミレの仲間などがあります。

Viola vaginata
日本海側の豪雪地帯に見られる、地下茎が特に太くなる種類。雪解け間もなく大きな花を咲かせます。

Viola orientalis
太平洋側の山地の草原などに見られる種類で、朝鮮半島から大陸が分布の中心です。